「だあぁ、待て待て!今のはナシ!

姉ちゃんがいきなり出てくるんだもん!」


「敵が作った幻かもしれないだろう。

気を取られて手を緩めた、お前の負けだ」


そう言いながら瑛さんは、あたしに近づいた。


間近で顔をジロジロ見られて、頬が熱くなってしまう。


「……本物みたいだな」


「当たり前でしょう!

もぉ、一体何やってるんですか!」


「手合わせだ。

お前の弟もなかなかやるようになったな」


「え……」


そう言えば、最初はお札を一枚ずつしか使えなかったのに、さっきは何十枚も操ってた。


「太一!

特訓の成果が出たんだね!すごいよ!」


「あは……でも、負けちゃった。

姉ちゃんのせいだからね!」


「だから、そんなのに惑わされるようじゃまだまだだ」


ツッコむ瑛さんの顔を、太一はキッとにらんだ。


瑛さんは涼しげな顔でそれを受け流す。