「効かねえよ!」


太一が指を組み直すと、

何十枚ものお札が、彼の目の高さに集まる。


「行けえぇぇ!!」


叫ぶと同時に、お札が何十もの刃となって瑛さんに突進する!


「瑛さん!」


瑛さんは地を蹴ると、高く飛び上がり、木の枝に着地する。


それで太一の攻撃を避けたかのように見えたが……。


「まだまだ!」


太一が瑛さんをにらむと、刃は木の上の瑛さんを狙い、飛ぶ!


「やっ、太一、やめて!」


「姉ちゃん!?」


思わず前に出ると、お札の勢いがなくなった。


「……甘いな」


頭上から声がしたかと思うと。


いつの間にか木から跳んだ瑛さんが、太一の背後に着地していた。


「……!」


その手に苦無を持ち、切っ先が太一の喉を狙う。


しかしそれは皮膚を切り裂く一歩手前で、ピタリと止められた。


「……俺の勝ちだな」


そう言うと、苦無を体ごと太一から離した。