「……!」


声に気付いた瑛さんがこちらを見ると、

花びらは全て消えてしまった。


そして厳しい目をこちらに向けてくる。


「……いつからいた?」


「はい、あの、今さっきです」


「何か見たか」


「お花……たくさん」


「それだけか」


うなずくと、瑛さんはやっと普通の顔に戻った。


「今のは?」


「村からの連絡だ。

伊奈孝太郎はやはり、岡崎一族だったという事だ」


「そうですか……」


早口で言うと、瑛さんは縁側から中に入ってきた。


「あの……」


「なんだ」


「手紙がお花になるなんて、素敵ですね。

どんな人が送ってくれたんですか?

もしかして、お母さんとか……」


そこまで言うと、瑛さんの顔がだんだんと険しくなってきたので、

最後は声が消えそうなほど小さくなってしまう。


「……違う」


「そ、そうですか」


「許嫁(いいなずけ)だ」


「えっ!!」