六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



「きゃあああああっ!!」


苦しい、苦しい、怖い、怖い、怖い……っ!!

息が出来ない……!!


「どうした!!」


部屋のドアを開けて、暗闇の中から銀色の光が飛び込んできた。


「いやあああああ!!」


「落ち着け!!こっちは現実だ!!」


「助けて、助けて……っ!!」


「まりあ!!」


「!!」


名前を呼ばれて、正気に戻る。


助けを求めて暴れた両腕が、瑛さんの両腕ににぎられていた。


「あ、きら、さん」


「…夢を見たか」


「……は、ぃ…っ、

こわ、怖かった……」


恐怖で歯の根がカチカチと鳴る。


息はまだ苦しいままで、

涙が溢れているのに気づくのに、少し時間がかかった。



「……あ、の、翼が……翼が」


何とか夢の内容を説明しようとするが、なかなか頭が整理できない。