六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】






何……!?



目の前にあるのは、鉄格子。



『出して……!!』



あたしは叫ぶ。



泣いて、叫んで、助けを求めている。



怖い怖い怖い、ここはいやなの……!!



『出してええええっ!!』




絶叫すると、鉄格子は消えた。



その代わりに見えたのは、大きな翼。



それは何者かの手によって、むしられ、はぎとられていく。



『やめてえええええっ!!』



パラパラと、自分の頬に赤い雫が落ちてくる。



また、血……!!



『やめてえっ、もう傷つけないで……!!』



それでも無情に、元は白かった羽が軸を失って、

ふわりふわりとあたしの周りを舞う。



足元には、溺れるほど赤い水溜りができていた。