もういいか、と瑛さんは席を立とうとする。
「あのっ……」
「なんだ。
興味本位の詮索はよせ」
「そんなんじゃなくて……」
あたしは前から気になっていた事があった。
太一が、言っていた事……。
「今でも、暗殺なんて頼まれる事……
あるんですか?」
何故自分でもそんな事を聞いてしまうかわからないけど。
見つめると、瑛さんの瞳は揺るがずにこちらを見つめた。
「……それは、皆無じゃない。
俺達は戸籍を持たないから、
敵が多い金持ちにとって都合が良いからな。
だから政治家達も、俺達が村で好き勝手してるのを見逃している」
「……そう、ですか……」
「ああ、だが……」
「?」
「俺はまだ、受けた事はない」
「…………」
そんな事、聞いてないのに。
瑛さんの瞳がぶれないことが。
何で、あたしは少し、嬉しいんだろう。



