六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



そんな話はいいか、と瑛さんは首を振った。


「なんで、減っちゃうんですか?」


「普通に考えてみろ。


江戸時代までならまだしも現代で、

学校も図書館もスーパーも娯楽も何もない所に、

嫁に来たいやつがいるか?」


「……いないでしょうね」


「だろう。

だから俺達は近親同士で子を増やす事も考えたんだが……」


それはやめたらしい。

瑛さんはあまり詳しくは話したくないようだった。


「まあそれでも、

たまに『仕事』で外に出たやつが、嫁を連れてくることがあるがな」


なるほど……。

そりゃ、減るはずだわ……。


「とにかく、そんなこんなでテレビもないし携帯も繋がらないからな。

仕事に必要な情報以外は、ほとんど知らないと言っていい」


「だからオーリィの事もわからないんですね」


「心当たりがないわけじゃないが……憶測はやめておく」