六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



リビングのソファで並んで座り、

瑛さんはぽつぽつと話しだした。


「俺たちのことを異世界の人間と言ったアイツの言葉は、

間違ってない。


俺達岡崎一族は、国から独立している」


「独立?」


「この国には所在地があるだけで、

税金も納めてなければ、公的サービスも受けてない。


俺達はある土地に自分達の国……俺達は【村】と呼んでるが。


その村を作り、自分達の法律でそこを治めている。


自分達が仕事で稼いできた金で、全部を賄ってるんだ」


「ええっ」


「だから村の位置は地図にも乗らないし、戸籍もない。


村で産まれた者は、一生忍として生きるのが運命(さだめ)だ。


まあ、子供の数は減り続ける一方だから、

村自体そのうちなくなるかもしれないけど」


瑛さんは、ため息をついた。


「減ってるんですか?」


「純血なんて、もうほとんどいない。

混血でさえ……」