六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



オーリィは、まっすぐあたしを見つめ返す。


「……イギリスに一緒に来てほしい。

今は、それしか言われへん」


「イギリス……」


「そう。

せやから、オッサンに抜け駆けされたら、ごっつ困るねん」


「…………」


胸の中に、重たい石が落ちたみたい。


この前神社で、綺麗だとか、つきあわないかとか言ってきたのに。


それは全部……あたしが【夢見姫】だから。


あたしの力を、手に入れたかったからなんだ……。


「やからな、協力させてほしいねん」


「協力だと?」


「僕はサイコパワーを持ってる。

まりあの念力に近いモノやな。

伊奈を撃退するのに、役に立つで」


あの時の伊奈の手の傷と、えぐられた地面を思い出した。


「ほんで、伊奈が諦めたら、改めて僕の話を聞いてくれるか?」


「……聞くだけ……?」


「納得したら、一緒にイギリスに来てほしい」