六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



「とぼけるのもいい加減にしろ」


部屋の空気がはりつめていく。


オーリィは眉を下げて、あたしの方を見た。


「僕は、まりあの敵じゃない」


「オーリィ……」


「でも、瑛の敵にはなるかもしれへん」


瑛さんの目が細められる。


「それって、どういう……」


「こいつも伊奈と同じように、お前の力を狙ってるという事だろう」


「そんな……」


厳しい言葉に、オーリィはため息をついた。


「まぁ、そういう事やな。

僕も夢見姫の噂を聞いて、この国に来たんやから」


「どこの所属だ」


「……多分言ってもわからんのちゃう?


ホンマ、この国の人等は、よその国の事に無関心やから。


キミはその中でも、一層閉鎖的な一族やからな」


バカにされたと思ったのか、瑛さんが一歩前に出た。


「待って、喧嘩はダメ!」


「チッ……」


「オーリィ、あなたはあたしをどうしようって言うの?」