六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



「そうなんですか?

何であの人は離脱なんか?」


「……聞いた話では、美合一家の父親が『仕事』で失敗をして……

母親、子供共々、罰から逃げるように出ていったという事だ」


「失敗……。罰って……」


「……『仕事』を失敗した者は、

一族の名を汚したとして、処罰される。


……お前が聞いたら気絶するような罰が、一家全員に課せられる」


「…………」


何と言って良いかわからなかった。


決して、伊奈孝太郎に同情したわけじゃない。


岡崎一族の特殊性に、言葉を失う。


「瑛の一族は、異世界の人間やと思った方がええで」


オーリィがあたしに話しかける。


「それは、どういう……」


「後から説明してやる。

それより……」


瑛さんの紫色の瞳が、オーリィをとらえて光る。


「どうしてお前は、そんな情報を手に入れられたんだ」

「そら、調べたからやん」