胸にのしかかるものが、段々重くなっていく。


「俺は依頼を受けた。

だからその為に命を張る。

それだけの事だ。


仮に、先に伊奈の護衛の依頼を受けていたとしたら、

俺は何の疑いもなく、お前達の敵になっただろう」


「そんな……」


「太一や清良、それにお前も、ためらいなく傷つけただろう」


「やめて……」


「殺す事だって、したかもしれない」


「やめて!!」


アキちゃんがテーブルに乗って、毛を逆立てた。


「……仮にの、話だ」


「…………」


「だから……あまり、俺に……気を許すな」





瑛さんは静かに言うと、背を向けて部屋を去っていく。



何で……。何で、そんな事言うの。


あたしは…………。


泣きそうになっていると、瑛さんの足音が止まった。



「……うまかった。

……ごちそうさま」



彼は少し振り返って、それだけ言った。