六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



ため息が出る。


オーリィが味方なら良いのに……。


あたしに悪意はなさそうだけど、

味方ってわけでもなさそうだし。


「にゃあ」


肘をついて考えこんでいると、アキちゃんがテーブルに乗ってきた。


「アキちゃん……」


――どうして僕を使わなかったの?

僕は貴女の使い魔なのに。


紫色の瞳が、そう言っているように感じた。


「……パニクっちゃったんだよ……アキちゃん……」


自己嫌悪が押し寄せてくる。


あたしだけ、大した怪我はしなかった。


むしろ、足手まといになって、皆を傷つけてしまった……。


「やっぱりおとなしく、家で寝てるしかないのかな……」


あたしが外に出たりしたから……。



「にゃあ!」


「アキちゃん?」


突然アキちゃんがテーブルから床に飛び降りた。


そちらを見ると……。


瑛さんが、ドアの所に立っていた。