六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



と、わざとふざけたカタコトの日本語で返されてしまった。


「もぅ……どうしたら教えてくれるの?」


「キスしてくれたらええよ?」


「オーリィ!」


オーリィはニッと笑って、人差し指を口元にあてる。


「皆、起きてまうで。


時期が来たらちゃんと説明するし、

今夜はゆっくりお休み?な?」


「…………」


あたしは台所に戻って、密閉容器に煮物を詰めた。


「持っていって」


「?」


「口にあうかはわからないけど、この国の家庭料理。

オカズの足しにして」


「ホンマ?

うわぁ、おおきに!」


オーリィは笑顔で手を振り、帰っていった。


不思議な人……。


不意を突いたとはいえ、

瑛さんでさえ敵わなかった伊奈に、傷を負わせた。


しかもあの地面のえぐれた跡……。

多分、あたし達と同じような、特殊能力を持った人だ。


そして、『夢見姫』について、何らかの情報を持っている――。