瑛さんが、苦無を伊奈に投げつける。
しかし伊奈は、
太一のそれよりも強力な結界を瞬時に張り、それを防いでしまう。
「チッ!」
瑛さんの舌打ちが聞こえた。
「まりあ!」
瑛さんの方を見ていたあたしを、清良が引き寄せる。
すると足下に、木の枝がめり込んだ。
ザシュ!
清良がそれに傷をつける。
「二人とも、下がって!!」
太一は叫ぶと、いつの間にか現れた鷹を、木々に向かって放つ!
「ごめん!!」
森に謝ったのだろうか。
太一は叫ぶと、指を組んで真言を唱える。
すると鷹の羽がバサバサと大きく動き、風が起こった。
風は木の葉を吹き飛ばし、枝や幹を傷つける。
「瑛さんの攻撃受けながら式神をちゃんと操るなんて、どんだけだよ!!」
汗を流しながら、太一が愚痴をこぼす。
本当にそうだ。
今までとは比べものにならない。