六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



ぼんやりするのも何だから。


家の中から庭から、大掃除をする事にした。


といっても、そんなに汚れてないけど。


よし、早いけど夕ご飯の準備をしよう。


実は瑛さんはあたしのご飯にだけは、文句を言わない。


意外に毎回、完食してくれるんだ。


よーし。


いつも時間がないから、今日はめんどくさい煮物でもやろうかなぁ。


瑛さん、何だかんだ和食が好きみたいだし……。


「…………?」


清良の実家からもらった里芋を洗いながら、疑問が浮かんだ。


「何で、瑛さんが好きだからって和食にするわけ……?」


……?


瑛さんが好きだからって……。


好きだからって……。


「ないないないない!!」


首をプルプル振ると、里芋が手からつるりと落ちた。


もう、清良が変な事言うからだ!


それにしても……。


笑った瑛さん、綺麗だったな……。