六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



「俺も残る」


「じゃ、じゃあ俺も!」


瑛さんに太一が続いた。


「ダメだよ、二人とも。

特に瑛さんは、ちゃんと学校に行ってください」


「何故、特に俺なんだ?」


「……一般常識と、協調性を学んできてほしいから……」


「…………何だと?」


「ぷっ!間違いない!」


清良が笑って、場の空気が少し軽くなった。


瑛さんだけは、苦虫を噛み潰したような顔をしている。


「結界もあるし、アキちゃんもいるし大丈夫でしょ!

さっ、男共、学校行くよ!」


清良が二人の肩を抱き、玄関へ向かう。


「行ってらっしゃい……皆、気をつけてね」


三人の背中を見送ったら、ため息が出た。


あぁ……。

学校をサボるなんて事、今までなかったのに。


とうとう、普通ではなくなってしまった……。


「しょうがないよね、アキちゃん」


足元からアキちゃんが飛び出して、尻尾をふってくれた。