六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



「お前は……何をやってる!」


珍しく声を荒げた瑛さんが、あたしをにらんだ。


「一人で行動するなと、何回言えばわかる?」


「……どうして……」


「使い魔が居場所を教えてくれた」


いつの間に戻ったのか、アキちゃんが足首にすりよった。


空を見上げると、

オーリィが言った通りに、雨雲が垂れ込めている。


「太一も清良も、まさか外に出ると思わなかったから探してる。

一人になりたいなら、部屋や庭が……」


なおも続く瑛さんのお説教の途中で、

耐えきれなくなった雨粒が落ちてきた。


ぽたぽた、と、石段にシミを作っていく。


「……チッ」


瑛さんは舌打ちをして、あたしの手を引く。


賽銭箱の向こうには金網が張ってあって中には入れないけど、一応屋根があるから。


「……」


微妙な沈黙が落ちる。


強まる雨は結界のように、あたし達を世界から隔絶していく。