六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



「瑛さん……」


「離れろ」


いつの間にやってきたのか、オーリィの背後からその手を取っていた。


オーリィは手を振り払い、立ち上がる。


「……気配を感じさせないなんて、スゴいな。

驚いたわ」


「そっちこそ。

使い魔が見えるんだって?」


瑛さんはあたしの前に立つ。


「……夢見姫を狙う関係者か?」


「なんやそれ。

意味わからへん」


「ならば、去れ。

二度とこいつに近づくな」


「そういうわけには、いかへんな」


オーリィは、見たことのない不適な笑みを浮かべた。


それはあたしの胸に雲をかける。


「でも、今日は引いたるわ。

雨が降りそうやしな」


ほなさいなら、と言って、

オーリィは神社の階段を降りていった。