「まりあ、この辺に住んでるの?」


「えっ?

あ……違うよ、少し離れてて……。

オーリィは?」


「僕は駅の近くのアパート。

今日は散歩してた」


オーリィはあたしの横に、自然に座る。


太一よりも瑛さんよりも大きな体の男の子に、心が警戒してしまう。


あたしは何とか、世間話をしようとした。


「何でこんな田舎に留学してきたの?」


「んー……この地方の歴史に興味があったからなんやけど」


「歴史?」


「神サマとか、お祭りとか」


「へぇ……」


警戒が、だんだん薄れていく。


質問に答えてくれた声に、暗い響きは全くなかった。


「家族は?」


「両親と兄がおるよ」


「彼女は?イギリスにいなかったの?」


オーリィは、ははと笑った。


「おらんおらん。

あっちはこんな顔、ぎょーさんおるから全くモテへん。

こっちに来てビックリしたわ」