一人になるのは久しぶりだ。
多分、その辺から太一の鷹が監視してるだろうけど……。
「にゃあ」
「あっ、ついてきたの?」
一体どうやってついてきたのか、瑛さんにもらった猫が膝に乗る。
「……名前、まだだったね」
可愛い猫の姿の使い魔は、瑛さんの姿を思い出させる。
月の光のような銀髪に、紫色の瞳。
「あー……あき……アキちゃん、
アキちゃんにしよっか」
「にゃあ」
了解した、と言うように猫は鳴いた。
「アキちゃん、キミのパパは厳しいよね……」
膝に乗ったままのアキちゃんは答えない。
「でも正しいんだよね、悔しいくらい……」
はぁ、とため息が出た。
さっき言われた事を思い出す。
『いつまで、常人のつもりだ』
「……だって、普通でいたかったんだもんね……」
アキちゃんの背中の感触は、普通の猫と全く一緒で温かかった。



