「……じゃあ、いつになったら自覚するんだ?

あの誕生日の日から、何日経ってる?」


「…………」


「やめなさいよ、瑛」


清良が口を挟む。


「八つ当たりしないでよ」


「なんだと……?」


清良の言葉に、瑛さんがますます怖い顔をする。


「あんた、焦ってんじゃないの?


肝心の敵はなかなか現れないのに、正体不明の外国人が現れるし。


自分の仕事がスムーズに行ってないからって、

まりあに八つ当たりしないでよ」


「……誰が、八つ当たりなんか……

全く、付き合ってられない」


瑛さんはスタスタと自分の部屋に帰っていってしまった。


「……言われちゃった……」


「まりあ、気にしなくていいよ」


「うん……。

ごめん、ちょっと一人にしてもらえる?」


「あ、姉ちゃん……」


引き止めようとした太一を、清良が無言で制した。


(瑛さんに見つかりませんように)


そう念じながら、家を出た。