「……とにかく、それは普通の人間には見えないから。
うっかり話しかけるなよ」
「はい……あの……」
「何だ?」
「この子、元は瑛さんって、一体どういう事ですか?」
「…………」
瑛さんは少し迷って口を開いた。
「……元は、俺の髪の毛だ」
「……わぁ」
「……気色悪いだろう。
だからせめて、その姿にしたから。
有効に使えよ」
せめて、その姿って……
あたしの為に、子猫の姿にしてくれたって事?
「もしかして……この子で力を使って疲れたから、今日寝坊したんですか?」
見上げると、瑛さんは眉をひそめた。
「仕方がないだろう。
元々専門外なんだから」
「そんな、責めてないし、バカにしてるわけでもないですよ?」
「じゃあ、何だ」
「……ありがとうございます、頑張ってくださって……」
「…………」
お礼を言うと、瑛さんは固まってしまった。



