六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



「それは使い魔。式神と同じようなものだ」


「えっ、まさかこの子、瑛さんが作った、というか……」


「『作った』で間違いない」


「うわぁ……」


意外。


瑛さんがこんな可愛い使い魔を作れるなんて。


「お前の言うことを聞くようにしてある。

少しなら術も使えるから、

一人で危険に遭遇した時は、そいつに向かって念じろ」


「念じるって……」


「朝、俺の部屋を開けたようにすればいい。

ドアを開けたければ、『開け』と思えばいい」


「まさか……!」


確かに、あたしはそう思いながらドアを開けたけど。


まさかあれが、結界を破ったわけ?


「あの部屋の結界は弱いけど、それでも素人に破れるものじゃない。

お前の力が目覚めつつある証拠だ」


瑛さんは、じっとあたしを見つめる。


あたしは、胸に重たい石が落ちてきたように感じた。