六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



瑛さんがあたしを連れてきたのは、

階段の下のスペースにある倉庫だった。


どうやって鍵を開けたのかわからないけど、

誰にも見られていないのを確認した瑛さんに、中に入れられた。


「な、何ですか?」


「話がある」


「はい……」


倉庫の中は窓もなくて、薄暗い。


しかしその中でも、瑛さんの銀髪や白い肌はハッキリ見えた。


「これを、連れていけ」


「?」


瑛さんは制服の中から、何かを取り出した。


それは彼の腕の中でもぞもぞ動く。


「……猫?可愛い……」


「そうか、可愛いか」


瑛さんの腕の中にいたのは、

グレー……というか銀色の毛をした、小さな猫だった。


「あはは、この子、瑛さんに似てる」


「は?」


「髪の色と目の色が一緒」


猫を受け取りなでてやると、紫色の瞳が細められた。


「そりゃ、元は俺だからな」


「……は?」