六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



「ソレに手を出すなら、俺を倒してからにしろ」


「あ、カレシ♪」


「オーリィ、逆らっちゃダメだよ!」


オーリィを威圧するのは、彼より少し背が低い瑛さんだった。


「なんや、ケチやなぁ」


オーリィはニコニコ笑って、教室に向かっていった。


「ちょっと、来い」


「えっ」


「あ、瑛さん、授業始まるよ!

姉ちゃんをどこに……」


太一の言葉を無視して、

瑛さんはこの前のようにあたしの手を引いて歩きだす。


「まりあー、体調不良って事にしとくからー」


背中から清良の明るい声だけが聞こえた。