六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



「あかんあかん。

repeat after me.

オーリィ♪」


「お、おぉりぃ?」


「Very good!」


「コラァ、姉ちゃんから離れろ!!」


太一に引き剥がされて、オーリィは「オーゥ」と眉を下げた。


「日本人、ホンマにシャイやなぁ」


「うるせ!郷に入れば郷に従え!」


「ごぅ……?」


「日本人に恋人でもないのにベタベタすんなって事!」


オーリィは太一が言った事がわかったみたいで、シュンとしてしまった。


「あぁ~……太一、大目に見てよ」


あのおしるこ騒動から、オーリィはあたしになついてしまった。


きっと、こんな田舎に来てしまって、心細いに違いない。


そんな風に思って、あたしは彼を無下にできなかった。


「まりあは、ホンマに優しいなぁ」


また両手を大きく広げたオーリィの襟が、後ろから引っ張られた。