「こうやって二人で行くの、久しぶりだね」
わざとふざけて、太一の手を握って振ってみる。
ははっ、と太一が笑った。
そして、あたしの手を握り返してくる。
太一の手は意外と大きくて、温かかった。
「なぁ、姉ちゃん……」
「うん、なーに?」
「このゴタゴタが全部終わったら、どうすんの?
留衣さんと住むの?」
「う?うーん、それはやめときたいな……。
あたしはあの家に閉じ籠りになる気はないよ」
「じゃあ、ずっとうちにいるんだよな……」
「それも……どうだろう」
「な、何でだよ!」
太一が声を荒げるので、こっちが驚いてしまう。
「何でって……。
こうなる前から、県外に進学か就職したいと思ってたし」
「県外?何で?」
「だって、こんな田舎で、井の中の蛙で良いのかな?
いずれは帰ってくると思うけど、あたしは外に出たい」
説明すると、太一はぐうぅとうなった。



