そんなやつに恋をした。





不死鳥のようにというのはまさにその通りの意味。


前の運び屋、それもまた"田倉井"。

一度肉体が滅びるだけで、精神は引き継がれる。そして同じ肉体を付けて蘇る。


だから、倉井の脳内には何千年との歴史が詰まっている。
いったい何歳なのか分からない。



そして運び屋の本題。
『人に悪夢を見せること』



倉井の最大能力だ。

本来悪夢というのは、夢の中でも嫌な夢というもの。
しかし、倉井の悪夢は違う。


その人が持っている悩みや恐怖を倍増させ、まるで異次元にいるかのごとくその世界にはまらせてしまう。

そのため朝が来ても起きることはない。

朝が来ない悪夢だった。



見せるのは簡単。
"右目を見せればいい"


倉井は常に右目を何かで覆っている。前髪だとか、眼帯だとかスプーンだったり。
…スプーンはアイス食べてた証拠。


その瞳を見たものは一瞬で眠りに堕ちていく。

−−芹亜以外。


まぁ、それは後だとして。


ここまでの運び屋の説明は分かってもらえただろうか?


では。


倉井が馬鹿な理由。



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