そんなやつに恋をした。






田倉井(21)
(だ くらい)

職業"運び屋"。



とは言え、世間知らずのお馬鹿ちんだった。


「アメダスどこだっけ?アメダス…?」


スマホをスライドさせながら何かを探す倉井。
てゆうかアメダス?
あの雨量調べるやつ?

そんなのアプリであったっけ?
あったとしても使わないでしょ、普通。
今の天気は快晴過ぎる日本晴れ。


「あった!」


そういってやりはじめたのは
『テトリス』


…………。
スしかあってないってどゆことよ。


楽しそうにテトリスをしながら、たまにアイスの実を食べる倉井。


−−−−−


こうも倉井が馬鹿なのは理由がある。


それを説明する前に"運び屋"のことを知ってもらいたい。



"運び屋"

人へと悪夢を運ぶことからそう呼ばれている。

この世界で唯一倉井にしかできない仕事。
なぜ?


だって倉井しか運び屋はいないから。


そうたった一人しかいないのだ。



今までに、というわけじゃない。

前の運び屋が死んだら、次また新たな運び屋が生まれる。


不死鳥のように。


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