この世界には普通の世界とは違う仕事が二つだけある。
一つは倉井がやっている
『人に悪夢を見せること』
つまり"運び屋"。
もう一つは芹亜がやっている
『人を悪夢から解放すること』
つまり"医夢師"。
正反対のこの仕事。
闇を人に見せ、
光を人に与える。
仕事をやっている二人もまた正反対。
だからこそ惹かれたのかも知れない。
一目惚れというのは、相手が自分に無いものを持っていて、それを自分が必要だとか思ってこそなるらしい。
つまりそういうことだった。
闇にある倉井は光を求めた。
光にある芹亜は闇を見たかった。
お互い自分に無いものを相手に求めた。
自分では意識していなくても、心の奥底で眠っていたのかも知れない。
だからこそ、会うはずの無い二人が巡り会ったのかも知れない。
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