そんなやつに恋をした。





「冷蔵庫にあるチャーハンをレンジでチンしてね」
「おぅ」

むぐむぐと口を動かしながら答える男。
コンコンとヒールを鳴らし履く女。

「行ってくるわね」
「いってらっしゃい」



東京都の10階建てのマンション。
そこに男女は住んでいた。



「早く帰ってこないかな〜」

っておい。
でてってからまだ一分たってねーよ。


コトン


「およ?」

郵便受けに何か入ったようだ。
食べていたアイスを置き、スプーンをくわえたまま玄関へと歩く。

「ひゃいひゃい、ひゃんでひょうひゃ?」

ひゃ多いな。
それにしても朝からアイスって…

「あ、俺達にだ。」

そりゃそうでしょう。
あんたらの家なんだから、そこに来る手紙はあんたら宛てでしょ。

ハガキの宛名には


田 倉井
暮 芹亜様

と書かれている。

そうこの男女は
田倉井(だ くらい)
暮芹亜(くれ せりあ)。




れっきとした夫婦である。


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