そんなやつに恋をした。






そしてこんな馬鹿息子を過保護にしている(ように見える)親も、馬鹿だ。

そういうのにはいい薬がある。


「…目を覚ましません。」
「そんなっ!!」


母親は息子を激しく揺さぶる。


「起きてっ起きなさいよっ!!」
「すみませんが。」


芹亜は母親の動きを止め、冷たい目で見据える。


「この子相当荒れてたんじゃありません?」
「は?」


母親はさも不思議と言う表情で芹亜を見返してきた。


「悪夢にかかるほとんどの方は日頃の行いが悪く、近所でも評判がとても悪い。それにここまで目を覚まさないというのは稀です。それくらいの悪事をしていたのではありませんか?」
「う"っ…」


一気にまくし立てた芹亜は言い放つ。


「そんなことにさえ気がつかないあなたもあなたです。子を見ないのは、母親ではありません。これじゃ、この子を産んだだけの女じゃないですか。」
「……っ」


そっと母親の肩に手を置く。


「でも今からやり直せば良いんです。」
「はいっ……」


母親も重々承知したようだった。それを見た芹亜は微笑む。


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