そんなやつに恋をした。






こんな風に倉井は日々仕事をしている。


「芹亜はまだ仕事?」
「えぇ。そろそろ戻んないとね。」


食後のアイスを食べている倉井は、え〜と駄々をこねるようにスプーンを口に加える。


「そんな可愛い顔してても駄目よ。仕事は仕事。」
「む〜………」


仕事は大事なことと分かっているので文句は言えない。可愛いと言われたことに対してなのか、せめてもの反抗なのかうなる倉井。


「行ってきます」
「いってらっしゃい」


それでも仲良く送り、送られ。


−−−−−


「お願いします。」
「えぇ。こちらにどうぞ。」

ここは病院の精神科。
芹亜が働いている場所だった。

そして今日も悪夢でうなされている患者を診ている。


「今朝家の前の公園で倒れているのを見つけて…ずっと起きないんです。」
「そのようですね。」


患者は昨日の夜倉井がやった馬鹿不良だった。

「治せますか…?」
「えぇ。大丈夫です。」


そういうと、患者の目を開ける。

(…何かやらかしたと見てまちがいないわ。倉井だし。)

倉井が悪夢を見せるのは他人に迷惑をかけるやつにしかしないことを知っている。


_