そんなやつに恋をした。






「おらよっ」
「ヒャッハーもらっとくぜ〜」
「返してくれっ私の財布だっ」
「あ"?」
「はい俺達のになりました〜」


案の定、不良が親父狩りしてます。
はぁ…と呆れたようにため息をつく倉井。


「よお」
「あ"?誰だよ?」
「盛大な勘違いっ?ウケるっ!!」


何がウケるだ、とか思いってるのはさておき、話しを続ける。


「財布返してやれよ、アイツんだろ。」
「あのな〜」


こいつばっかじゃねぇの、という視線を倉井に飛ばしながら言う。


「とったもん勝ちって言うだろ?」
「だから俺達のだよヒャハ」


そんな視線を冷たくあしらう。


「お前らみたいなのがいるから終わんねぇんだよ。」
「はぁ?」
「お前イカれてんのか〜?」
「馬鹿はお前じゃねぇの?ばぁーか」


すっ…と右目を覆っている眼帯を持ち上げる。そこにはどこまでも青い瞳が覗く。


「"運び屋"の仕事がな。」
「"運び屋"…っ!?」
「お前っ…」


ふいに不良共が地面に倒れ込む。
それと同時に黒い財布も落ちる。
それを拾い上げ、気絶している親父のカバンに入れてやる。


「次行こ。」


そういってまた闇の中へ紛れて行った。


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