そんなやつに恋をした。






暮芹亜
(くれ せりあ)

職業"医夢師"。



"医夢師"

人を悪夢から解放することからそう呼ばれている。

この世界で唯一芹亜にしかできない仕事。
なぜ?


だって芹亜しか医夢師はいないから。


そうたった一人しかいないのだ。



今までに、というわけじゃない。

前の医夢師が死んだら、次また新たな医夢師が生まれる。


不死鳥のように。
"運び屋"のように


不死鳥のようにというのはまさにその通りの意味。


前の医夢師、それもまた"暮芹亜"。

一度肉体が滅びるだけで、精神は引き継がれる。そして同じ肉体を付けて蘇る。


だから、倉井の脳内には何千年との歴史が詰まっている。
いったい何歳なのか分からない。


"運び屋"となんら変わりはない、同じだった。



違うのは医夢師の本題。
『人に悪夢を見せること』


芹亜の最大能力だ。

本来朝が来て起きると悪夢から覚めるが、倉井の悪夢は違う。

さっき説明したとおり
朝が来ない悪夢なのだ。


覚ませるのは簡単。
"左目を見せればいい"


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