なぜ悪夢を見せるかなんて分からない。
なぜ運び屋なのかも分からない。
そんな自分が嫌いだった。
人が悪夢でうなされる姿を
見るのが嫌だった。
この右目が嫌いだった。
だから、むやみに人を苦しめないようにと右目を覆った。
"運び屋"という自分を隠すように。
−−−−−
「腹減った〜」
冷蔵庫の中からチャーハンを取り出すと、レンジへと向かう。
「600Wで40秒…っと。」
ぴ、と可愛らしい音が下のを確認した倉井はリビングのソファーで待つ。
「む」
ハッキリ物が見えると思ったら、右目の眼帯がなかった。
「俺いつ落としたっけ」
探している姿は某青狸の出演している、アニメの主人公が眼鏡を探しているような姿だった。
チン
「あ、チャーハン」
チャーハンを取り出すとうまそうな匂いが鼻に伝わる。
「いっただきまーふ」
言い終わる前に食べるとは…
美味しそうに頬張っている時だった。
「昼休みだから戻ってきちゃっ……」
芹亜が帰ってきた。
それは良いことなのだが、問題は別にあった。
芹亜と倉井の瞳がバッチリ合ってしまった。
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