第一、連絡の付けられないカレシってどういう奴なんだ、と詮索されても説明に窮する。

 それに、あまり酒の飲めない結衣は、飲み会に行くより、早くロイドに会いたいというのが本音だった。

 普通のカップルは電話やメールで、いつでも連絡が取り合える。
 けれど結衣は、話をするのも会えるのも、週に一回だけなのだ。

 今日は帰りが遅くなるので、ロイドには明日の朝来てくれるように言ってある。
 明日になればロイドに会えると思うと、今からちょっとウキウキした。

 バス通りから車がやっとすれ違える程度の狭い路地に入り、少し歩くと結衣の住むマンションがある。

 ほんの少しの距離だが、街灯も少なく暗いので、結衣は自然に早足になった。

 あと少しでマンションの入口にたどり着くというところで、結衣はギクリとして立ち止まった。

 マンション横のコインパーキングに止まった車から、背の高い男が降りてきて結衣の行く手を遮るように立ちはだかった。

 結衣は二、三歩後ずさる。すると男は、こちらに向かって歩いてきた。