「おまえが帰った後、また広げるからだ。きっちり片付けたら、何がどこに行ったのか分からなくなる」


 時空移動装置の時間のズレが修正され、ロイドは毎週金曜日の夜に結衣を迎えに来て、日曜日の夕方送って帰る。

 ロイドの部屋に来る度に、部屋の隅の山は高くなっている気がする。


 前の山を全部広げる前に、新たに別の物を広げているのだろう。だから週末に慌てて積み上げて、山がどんどん高くなるのだ。

 結衣は大きくため息をついてロイドを諭す。


「どこに何があるのか分かるように片付ける事を、きっちり片付けるって言うのよ」


 ロイドはムッとした表情で結衣の額を叩くと、腕を掴んで引き寄せた。


「だまれ。屁理屈はそこまでだ」