ロイドはチラリと結衣を見た後、正面を向いて短く答えた。


「昔、オレの助手をしていた男だ」
「入院してたって、どこか悪いの?」
「……悪い。守秘義務がある。奴の事は話せない」
「わかった」


 なんだか、ワケありな人のようだ。
 益々気になるが、守秘義務と言われては、それ以上聞けない。

 結衣が少し不満げにしていたからか、ロイドが肩を抱き寄せ頭を撫でた。


「気にするな。多分、大したことじゃない。疲れてないか?」
「大丈夫。さっき休んだばかりだし。あなたこそ、お腹大丈夫?」
「まだ、それほど減っていない」
「そう……」


 あれだけ食べたので、お腹の調子が悪くなっていないかと、訊いたつもりだったのだが——。

 結衣は気を取り直して、ロイドを誘った。