「違います。一応、耳に入れておいた方がいいかと思って。多分、副局長から話はあると思いますけどね。さっき、王宮に連絡したけど捕まらないって、ぼやいてましたから」


 ロイドが逃げるので、そうかと思ったが、どうやらこの人は副局長ではないようだ。


「何だ?」
「ランシュ=バージュが失踪したそうです」


 ロイドは少し目を見開いて、問いかけた。


「失踪? あいつ入院していたんじゃなかったか? 動ける状態じゃないと聞いていたが」

「そうらしいですね。私も詳しくは知らないんです。詳しくは副局長から聞いて下さい。それじゃ、失礼します」


 言うだけ言うと、彼はロイドに会釈して立ち去った。