ロイドは結衣の手を握り、繁華街を外れて、先ほど案内してくれた辺りへと引き返した。
 どうやらその辺りは、お役所関係が立ち並ぶ官庁街のようだ。

 しばらく通りを歩いたところでロイドは立ち止まり、少し先にある建物を指差した。


「あれだ」


 他の建物に比べて、やけに広い敷地は高い塀で囲まれ、二階建ての建物が建っていた。
 塀の影に隠れて、建物の姿は外からほとんど見えない。
 頑丈な金属製の門は固く閉ざされ、科学技術局は、まるで刑務所のようだった。


「どうだ。おもしろくないだろう」
「……うん」


 確かに外から見ただけでは、ちっともおもしろくない。
 むしろ威圧感があって、近寄りがたい気がする。