ロイドは結衣を睨んで腕を組んだ。


「おまえ、そんなにオレに抱かれるのがイヤなのか」

「どうして、そっちに話を持って行くのよ。っていうか、こんな所でそんな話しないで」


 結衣は焦って周りを見回したが、幸いこちらの話を気にしている人はいないようだった。

 ホッとしてロイドに視線を戻すと、彼はそんな事などお構いなしに話を続ける。

「だってそうだろう。オレが副局長に捕まって帰れなくなったら、今夜もお預けになる。三ヶ月もお預け食らった上に、これ以上待たされるのは、ごめんだぞ」

「わかったわ。すぐ側まで行かなくていいから、少し離れたところから場所と建物を確認するだけでいい」


 結衣の譲歩にも、頑固なロイドは返事をしようとしない。

 結衣は軽く苛ついて、ポケットから切り札を出した。
 IDカードをロイドの目の前に突きつけて、強く言う。