「副局長と鉢合わせでもしてみろ。仕事のつもりじゃなくても、仕事を押しつけられて、帰れなくなったらどうする」


 嫌がっている理由が判明し、結衣は目を伏せて軽くため息をついた。


「帰れなくなるほど仕事をため込むからでしょ? マシンで転送してもらったら、すぐ行けるんだから、マメに片付けなさいよ」

「なるほど。その手があったな。今度からそうしよう。で、他に行きたいところはあるか?」


 どうやら意地でも、科学技術局に行くつもりはないようだ。

 そこまで反対されると、かえって行きたくなってしまう。

 多分行ったところで、中に入れない以上、ロイドの言うように、おもしろい所はどこもないのだろうが。

 結衣はロイドを見据えて繰り返した。


「科学技術局」