科学技術局は、クランベール王国の国家機関だ。
 あらゆる分野の最先端科学を駆使して行われる、技術開発や研究では、当然ながら国家の重要機密も多く扱われている。

 そのため、セキュリティもかなり厳しい。

 一般人が立ち入る事が出来るのは、事前の申し込み承認の後、決められた見学コースと、建物の外にある守衛所横の面会応接エリアのみとなっている。

 たとえ局長のロイドの知人でも、突然行っては中に入れてもらえないのだ。


「中に入れなくてもいいわ。外から見るだけでいいから」
「だから、ただの建物だ。見たっておもしろくない」


 なぜかロイドは行く事自体、嫌がっているようだ。


「どうして嫌がるのよ。自分の職場でしょ?」

「おまえは休みの日に、職場に行きたいと思うのか?」

「思わないけど。仕事しにいくわけじゃないんだから、いいじゃない」