ロイドの家を後にして、二人は再びラフルールの繁華街に戻った。

 ロイドは今後、結衣がクランベールにやって来た時のために、病院や警察等、公共施設の場所を案内してくれる。

 文字の読めない結衣は、確かにそれらを見た目で判断するのは困難だ。

 もう二度と来る事はないと思い敬遠してきたが、真剣に文字を覚えなければならない時が来たようだ。

 大きくため息をつくと、ロイドが立ち止まり問いかけた。


「疲れたか?」


 結衣は首を振って、笑顔を作った。


「ううん。次はどこ行くの?」

「もう必要なところは回った。後はおまえの行きたいところに連れて行ってやる。ちょうどいい時間だ。甘い物でも食べていこう」