さて、これで本当にロイドが持ち上げられるんだろうか。

 結衣は半信半疑のまま、とりあえずロイドの腕を持ち上げてみた。

 思わず目を見張る。
 ロイドの腕が、まるでラップの芯でも持ち上げたかのように軽いのだ。
 これなら本当に持ち上げられそうだ。

 呆れた事にロイドは、腕を持ち上げられたまま、すでに熟睡モードに突入していた。

 持ち上げた腕を左右に振ってみたが、なすがままで反応もない。

 顔に落書きでもしてやろうかと、ちょっと考えたが、後が怖いのでやめておいた。

 結衣はとりあえず寝室の扉を開け、再びロイドの元に戻ってきた。

 彼の靴を脱がせ足をそろえて、ひざの裏側に腕を添え、側にしゃがんだ。
 反対の腕を背中に回すと、ギリギリ向こうの脇の下に届いた。

 ロイドの頭を自分の肩にもたれさせ、ゆっくりと持ち上げてみる。
 腕一本の時よりかなり重いが、何とか持ち上げられそうだ。

 力を込めて、ゆっくり立ち上がる。
 腕の中で胎児のように丸くなって眠るロイドが、なんだかかわいくて、結衣は思わずクスリと笑った。