「なんでそんなもの買ったんだ。即席なものか出前でも取ればいいのに」

「キャベツは生で食えるし、キノコはカビの仲間だから、それ以上腐る事もないかと思って」

「カビの仲間でも、生存競争の上で、他のカビとは仲が悪いんだ。腐る時は腐る」

「そうか。どうも専門外の事は疎くてな」


 結衣は思わず苦笑する。専門の学者じゃなくても、そんな事は知っている。
 やはりブラーヌは、ただ者じゃない変わり者だ。

 だがそんな事より、どうも話の流れからすると、ロイドが何か食べるものを作ろうとしているようだ。
 結衣はそっちの方が気になった。


「あなた、料理できるの?」
「こいつが何もしないから、昔からオレが二人分やってる。一応、食えるものは作れるぞ」


 そういえば子供の頃から、二人分の面倒を見ていたと聞いた。