「だが、おまえは別だ。オレがひと月で三倍にしてやるから心配するな」
「ちょっと……!」


 ブラーヌの目の前で何をする、と思ったら、ブラーヌも同じ事を思ったらしい。
 相変わらず本から目を離さないものの抗議した。


「おいおい。三倍にするなら二階に行ってくれ」
「だったら、階段にバリケードを築くなよ」


 ロイドが結衣を放して反論するが、ブラーヌは聞き流して思い出したように手を打ち、初めて顔を上げた。


「そうだ、ロイド。ちょうどよかった。腹が減ってたんだ」


 ロイドは大きくため息をついて、頭をかいた。


「ったく。帰ってくるんじゃなかったな。何かあるのか?」

「しばらくいるつもりだから、昨日買ったキャベツとキノコがある」