結衣の目は、知らず知らず驚愕に見開かれる。
 どう見ても人間の女性にしか見えなかった。
 もっとよく見て確認したい。


「もう一度、見てくる」


 本屋に引き返そうとする結衣の肩を、ロイドが片手で掴んで引き止めた。


「後にしろ。さっきの騒ぎを見てた連中がまだ中にいる。おまえがあんなもの見てると、また笑われるぞ」

「あ、そっか。じゃあ、帰りに買ってもいい?」


 結衣が尋ねると、ロイドは怪訝な表情で見つめた。


「変わった奴だな。女が見る雑誌じゃないぞ」
「別にエロい写真が見たいわけじゃないわよ。悪かったわね、変わり者で」


 ふてくされてプイッと顔を背けると、ロイドは結衣の頭に手を添えて抱き寄せた。